Reference Materials
参考資料|HACHIKEN-rubber expansion joint,flexible connector,rubber house/pipe
各種解説・補足説明
(1) 特にご指定がない場合のフランジ付きの製品の質量はJIS10Kフランジの場合の値です。
(但し、高圧エキスパンション、ベローズを除きます)
(2) 特にご指定がない場合フランジがSSの時は溶融亜鉛メッキ処理(HDZ55)が標準となります。
(グローバルジョイント、ATジョイント、及びベローズを除きます)
(3) 製法上フランジの溶融亜鉛メッキに蒸気がかかることで一部が黒く変色したり、斑模様になる場合があります。フランジの外観が問題になる場合は、予め塗装のご依頼をお願いします。
(4) 流体が気体の場合には最高使用圧力は各表示の1/2となる場合があります。
製品の選定方法
[製品概略選定]
カタログの目次から概略の製品を選定します。
[ゴム材質選定]
カタログのゴムの選定ガイドおよび客先での実績から流体、使用条件に適したゴム材質を選定します。
[寸法・規格選定]
呼び径・長さ・フランジ規格・フランジ材質を確認します。フランジ規格寸法はカタログをご覧下さい。
製作可能寸法は250A×5000L~1200A×750Lです。
[使用条件の確認]
カタログの個別製品の項目で使用条件と製品性能がマッチするかを確認します。確認項目は流体・圧力・温度・変位量です。
用語の解説
[最大変位量]
ゴムジョイントが配管に取付けられた後、ある一定期間許容される最大の変位量を言います。
振動のような長時間にわたる連続的な変位や、変位させた状態での長時間の使用の場合は含みません。
縮み、伸び、偏心はそれぞれ単独に発生した場合の値です。
[最大縮み量]
変位量の中で軸方向に圧縮可能な最大量を言います。
[最大伸び量]
変位量の中で軸方向に伸長可能な最大量を言います。
[最大偏心量]
変位量の中で軸直角方向に変位可能な最大量を言います。
[最高使用圧力]
使用可能な最高圧力を言います。
[曲率半径]
ホースの中心線における曲げ可能な最小半径を言います。
[アーチ構造]
エキスパンションや可とう管のアーチ部の内部構造を言います。
内部が空洞になった【キャビティータイプ】と軟質ゴムで充填された【ソリッドタイプ】とがあります。
標準は【キャビティータイプ】です。
【ソリッドタイプ】は汚泥など流体に固形物が含まれている場合に使用されます。
〈キャビティータイプ〉 | 〈ソリッドタイプ〉 |
※40A以下はすべてソリッドタイプアーチとなります。
※ソリッドタイプアーチの場合変位量が減少しますのでご注意下さい。
ゴムジョイント取扱説明書
ゴムの選定方法
下記一覧表をご確認いただき、ご用途・要求性能に合わせた種類をご選定ください。
ご不明な場合、ご相談の際にはお気軽にお問合せください。
◎:優 ○:良 △:可 ×:不可
EPDM エチレン プロピレンゴム |
CR クロロプレン ゴム |
NBR ニトリルゴム |
NR 天然ゴム |
Q シリコーン ゴム |
|
耐熱性 | ○ | ○ | △ | △ | ◎ |
耐寒性 | ○ | △ | △ | ○ | ◎ |
耐溶剤性 | × | × | △ | × | × |
耐油性 | × | ○ | ◎ | × | × |
耐酸性 | ○ | ○ | × | ○ | △ |
耐アルカリ性 | ◎ | ◎ | △ | ○ | ◎ |
耐候性 | ◎ | ○ | △ | △ | ◎ |
耐摩耗性 | △ | △ | ◎ | ◎ | × |
※1. 本表は、内面ゴム材質選定の目安です。詳細につきましてはお問い合わせ下さい。
※2. EPDMには耐油性はありません。流体が空気や水の場合でも、多少油分が含まれる場合にはCRまたはNBRをご使用下さい。
※3. 当社標準EPDMは水道用ゴム(JIS K6353)には適合していますが、平成12年厚生労働省令第15号には適合しておりません。
<ゴムについてのご注意>
●ゴムは有機物のために時間とともに必ず劣化します。劣化させる要因の代表はオゾン・酸素・熱・薬品です。
●ゴムはポリマーが同じでも配合により性質が変わり、ゴムメーカーが違えばゴムも違います。
例えば同じ流体でも使用可能なCRと、そうでないものとがあります。
●ゴム製品の寿命は使用条件により大きく異なります。
使用条件によっては1年で使用できなくなる場合や、逆に30年以上使用出来る場合もあります。
コントロールユニットについて
エキスパンションジョイントや可とう管に取り付ける面間寸法規制用のボルトを言います。
目的に応じて【セットボルト】と【タイロッド】の2種類があります。
※セットボルト及びタイロッドのステーはフランジが溶融亜鉛メッキの場合でもローバル塗装となります。
セットボルト
ジョイント据付け時の面間寸法調整用です。据付け後は必ず外してください。
セットボルトはゴムジョイントを配管に据付ける際の作業を楽にするために面間寸法を短くするものです。
据付け作業後は必ず取り外してください。
面間調整を行う場合は高ナットを
固定し、長ボルトを回して下さい。
※セットボルトの数は口径により変わります。
タイロッド
内圧により発生する軸方向の推力規制や過大変位防止用です。
<アダプタータイプ(標準)> と<ステータイプ(特注)> があります。
※タイロッドの数は口径と圧力で変わります。
(1) アーチ構造を持ったゴムジョイントは加圧時に軸方向の推力(概ね断面積×内圧)が発生し、面間寸法が伸びます。そのときに配管や周辺機器に力をかけることがありますのでその場合には配管の支持を完全に行うか、タイロッドをご使用ください。
(2) またゴムジョイントに過剰な変位を加えると破壊する恐れがありますのでその場合にも同様にタイロッドをご使用ください。
(3) タイロッドのナットを固定する位置は、変位量(縮み/伸び/偏心)にあわせて正しくセットしてください。
(4) アダプタータイプの場合はアダプターを取付ける部分のボルトが他よりも長いものが必要となりますのでご手配の際には充分ご注意ください。
(5) タイロッドは実際の使用圧力に合わせて設計されていますので、ゴムジョイント本体に表示された最高使用圧力とは一致しない場合があります。
(6) タイロッドのナットは変位量に合わせた位置で固定するため加圧時にその寸法まで伸びて配管に力をかける場合がありますのでご注意ください。
※図中の内ナットは負圧の場合等に使用するものでオプションです。
※加圧時の推力については下記をご覧下さい。
加圧推力
ゴムジョイントに加圧したときに発生する軸方向の推力の概略値は以下のとおりです。
【単位換算】1kN=102kgf
呼び径 | 加圧推力(kN) | |
0.50MPa | 1.00MPa | |
50A | 1.0 | 2.0 |
100A | 4.1 | 8.1 |
150A | 9.1 | 18.2 |
200A | 16.2 | 32.4 |
250A | 25.3 | 50.7 |
300A | 36.5 | 73.0 |
400A | 62.8 | 125.7 |
500A | 98.2 | 196.3 |
600A | 141.4 | 282.7 |
700A | 192.4 | 384.8 |
800A | 251.3 | 502.7 |
900A | 318.1 | 636.2 |
1000A | 392.7 | 785.4 |
※上記値は概略値を示します。
パッキン構造について
ハチケンのフランジタイプ配管用ゴムジョイントのパッキン構造は下記のような優れた特徴をもっております。
ハチケンのゴムジョイントのパッキンはフランジからの飛び出し量が2~3mm、と他社が10~15mmであるのに比べて極端に小さくなっています。
これはゴムのシール性を重要視しているためであります。
ゴムには圧縮永久ひずみといって、ある圧縮率でゴムを締め付けた後で外したとき、どの程度まで元に戻るかという指標があります。あまり強く締め過ぎるといわゆるゴムに「ヘタリ」が生じ、元に戻らなくなってしまうことは日常でも経験されていると思います。
そもそもパッキンがシール性を発揮させているのはゴムの持っている反発力であり、これが「ヘタリ」によって無くなると「シール漏れ」が起こってしまうことになります。
最悪の場合には「圧壊」といって締め過ぎによりゴムが破壊してしまうことさえあります。
それらを防ぐためにOリングなどではJIS規格で細かく溝寸法を規定し、「締め代」が適正になるようにしています。
飛び出しの大きいパッキン構造でもフランジを締める場合に締め付けボルトのトルクまたはフランジの隙間の量を正確に管理することにより、適正な「締め代」を得ることは充分可能であります。
しかし、実際の現場ではトルクレンチも無ければ締め代も構わず力一杯締めてしまうというのが現実であります。
当社の構造ではパッキン部の全体のゴム量が少ないために、締めすぎた場合でも過剰に圧縮される可能性が低くなっています。
配管用ゴムジョイント取扱注意事項
[用途]
配管用ゴムジョイントは配管の防振・防音及び変位の吸収を目的とした製品です。
その他の目的ではご使用にならないで下さい。
[使用条件]
必ず決められた条件以内(以下の項目)でご使用下さい。
(1) 流体の種類 (2) 圧力 (3) 変位量 (4) 温度 (5) 使用環境(地上用、埋設用、吸込側、吐出側)
※原則として液体の中で浸漬した状態ではご使用になれません。
※フランジ規格の呼び圧力と実際に使用できる最高使用圧力とは必ずしも一致はしておりません。
最高使用圧力については個々の製品の項目をご覧下さい。
[入荷時の確認]
入荷時には下記の項目をご確認下さい。
(1) 運送中の損傷の有無 (2) 製品の仕様 (3) タイロッドなど付属品類の員数
[保管]
(1) 直射日光にあたらない冷暗所に保管願います。
(2) 製品の上にものを載せたり、製品が変形した状態で保管しないで下さい。
(3) パッキンを損傷しないように、パッキン面は垂直な状態で保管願います。
(4) 油等の有害なものが付着した状態で保管しないで下さい。
[運搬・取扱]
(1) 蒸気・溶接など、高温がかかる作業を行わないで下さい。
(2) 鋭利な角のある工具等で突いたりしないようにして下さい。
(3) パッキン面は特に注意してお取り扱い下さい。
(4) ワイヤで吊り下げる場合は必す保護のために製品との間にクッションをお使い下さい。
(5) フォークリフトの爪で突かないで下さい。
[取付け]
(1) 大きく芯ずれした配管にジョイントを無理に変形させて取付けると極端に寿命が短かくなります。配管を正しく修正してから取付けて下さい。
※取付け時の許容変位量は通常の最大変位量の30%以内を目安にして下さい。(但し寿命は短かくなります。)
(2) ゴムジョイント同士、及びゴムライニング管との接続の場合はフランジのシールが完全に出来ない場合がありますので、その場合には間にゴムジョインと同じ内径の相フランジを挟んで取付けて下さい。
(3) ゴムシール面を傷つける恐れがありますので、相手フランジはFFフランジをお使い下さい。また、フランジ面に溶接のバリ等の突起がない事をご確認下さい。
やむを得ずRFフランジの様な突起のあるフランジをお使いになる場合は、ジョイントシート等の硬質ガスケットをご使用下さい。
ガスケットは全面形(フランジ形)とし、内径を製品内径と同じにする事を推奨いたします。
取付けボルトを過剰に締めこみますと、ガスケットを破壊してゴムシール面を傷つける可能性がありますのでご注意下さい。
(4) フランジのボルト締めは対向する位置から順番に均等に行って下さい。
(5) フランジボルトの締め付けトルクの目安は概ね次のとおりです。この値を超える過大なトルクで締め付けると、最悪の場合パッキン部のゴムを損傷する恐れがあります。
ボルト呼び径 | 締め付けトルク (N・m) |
M12 | 15 |
M16 | 30 |
M20 | 60 |
M22 | 80 |
M24 | 110 |
M30 | 220 |
M36 | 400 |
単位換算 ※ 1N=0.102kgf
(6) 取付け後、フランジのボルトがジョイントのゴム部にあたっていないことをご確認下さい。
(7) 溶剤でゴムが侵されますので、ゴム表面に塗装するのはおやめ下さい。
(8) 屋外で使用される場合には表面を日光から保護してジョイントの寿命を伸ばすためにラッキングなどで表面を覆うことが効果的です。
但し、メンテナンスの点からジョイントのラッキングは簡単に外せるものをご使用下さい。
[定期点検]
ゴムは有機物ですので時間とともに劣化します。半年に一度下記の項目を点検して下さい。
※但し、取付後10年以上経過したものは、無条件に直ちに交換されることをお薦めします。
(1) 外面ゴムに甚だしい亀裂が発生していないか
(2) フランジ部及びゴム表面からの洩れがないか
(3) フランジが極端に錆びていないか
(4) 加圧時にボルトがゴムに触れていないか
(5) 最大変位量近くまでに変形していないか
※最大変位量はジョイントが取付けられて一定期間経過後に、ある期間吸収できる変位量を表します。大きく変位してしまった場合にはジョイントの寿命のためにも速やかに配管を正しく修正して再度ジョイントを取付け直されることをお薦め致します。
(6) その他外観上異常はないか